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住宅借入金等特別控除で融資実行日が金銭消費契約締結日の翌年となった場合の取り扱い
新年を新居で迎えることを楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。年内に金融機関で住宅ローンの借り入れ手続きを済ませ、ハウスメーカー様より新居の引き渡しを受けた場合、借入先金融機関の事務の都合上資金の交付は入居の翌年となる場合があります。
住宅借入金等特別控除の申告に当たっては、確定申告書に住宅借入金の年末残高証明書の添付が要件となっておりますが、金融機関との間で住宅購入資金の借り入れ契約を締結し、入居した年の12月31日時点では資金の交付がなされていないため年末残高証明書の発行は、通常行われません。このため入居した年の住宅借入金等特別控除は受けられないのではないかとの疑問が生じます。
結論から言いますと入居した年を初年度とする住宅借入金特別控除の適用を受けることができます。その理由として、契約書を取り交わす金銭消費貸借契約は、当事者の申込と承諾という意思表示の合致で契約が有効に成立する契約であり、金融機関と契約書を取り交わした時点で借入金残高あるものとして差し支えないこと。借入金の年末残高証明書には、契約を締結した年月日が記載されるが、融資の実行日の記載は求められていないことなどを挙げることができます。
しかし、確定申告書に年末借入金残高証明書の添付が無い例外的な申告となるため、代わりに金銭消費貸借契約書の写しの添付等が、必要となるかと思われます。
その他ご不明な点がございましたら、税理士までご確認ください。
(東京地方税理士会 税理士 鈴木淳)