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住まい選びで見落としがちな周辺環境条件:公園

公園が住まいの価値に影響する?

 住まいを選ぶとき、建物そのものだけでなく、日々の暮らしを取り巻く周辺環境がどれほど大
きな役割を果たすかは意外と見落としがちです。

 例えば、都市の公共空間である「公園」は、健康や子育てといった暮らしの質に加えて、マイ
ホームの資産価値にも影響を与える住まいに身近な施設です。

 今回のコラムは、公園と住まいの関係に焦点を当ててみます。住まい選びの優先事項を見直す
きっかけとなれば幸いです。

実はたくさんある!公園の種類

 日々の生活の中で、散歩をしたり、子どもたちと遊んだり、あるいはただベンチで休憩したり
する公園。都市の中で見かける公園の多くは、都市公園法が定める「都市公園」に分類されます。

 都市公園は、国や地方自治体といった公的機関が設置する公園や緑地です。市民の遊び、運動、
レクリエーション、防災といった目的のために整備されます。

 都市公園は、表1 のように5 種類に分類され、種類ごとにさらに細かく種別されます。今回
は、住まいにより身近な公園である「住区基幹公園(街区公園・近隣公園・地区公園)」を取り
上げ、暮らしの質やマイホームの資産価値への影響を考えてみましょう。

国土交通省ホームページを
参考に筆者作成

住まいにより身近な公園を知ろう

 住区基幹公園の“住区”とは、主に小学校の通学区域を基準に定められた区域のことで、1km×1kmが標準の範囲です。住区基幹公園とは、住区内に居住する住民が日常で利用することを目的とした公園です。

 住区基幹公園は、さらに街区公園・近隣公園・地区公園の3種類に分類されます。この3種類の違いの一つに、想定される利用範囲(誘致圏)があります。表2で示すように、誘致圏が異なるということは、その公園へ通うのに掛かる時間が異なるということです。なかでも、大人も子どもも気軽に歩いていける距離にある、最も住まいに身近な公園が「街区公園」です。

 街区公園は、半径250mの範囲からの利用が想定されている、主にその街区の住民のための公園です。標準面積は2,500㎡で、50m×50mの公園を想像すると広さのイメージがしやすいかもしれません。比較的小規模な公園です。1つの住区の中に、誘致圏が重ならないように街区公園を配置すると、4つの街区公園が設置できます。子どもでも気軽に利用できる距離ごとに設置されているので、子ども向けの遊具が設置されている街区公園が多くみられます。

 あなたの住まいの近くには、どのような公園がありますか?

公園による暮らしの質やマイホームの資産価値への影響

 さて、住まいに身近な公園がわかったところで、本題に入りましょう。住まいの周辺に公園があることで、暮らしの質やマイホームの資産価値にはどのような影響があるでしょうか。

(1)健康への影響

 近年、Well-being志向の上昇に伴い、身体的な側面に限らず、精神的、そして社会的な側面を含めた健康意識の拡大が起こっています。人生100年時代ともいわれるこの時代、健康で暮らしていきたいですよね。

 公園は、ストレッチ、散歩などの運動を、誰でも気軽にいつでも行える貴重な場所です。住まいの近くにあれば、運動を日常に取り入れやすいです。

 また、オープンスペースの限られる都市において、公園の緑や自然の風景が暮らしの一部となり、精神的なリラックス効果が期待できます。季節の移ろいを感じることもでき、気持ちのリフレッシュにもなります。

 さらに、公園利用をきっかけに多世代の交流が期待できます。地域コミュニティが自然と形成されやすい場所です。これは、近年のコミュニティ希薄化が問題となる中で、非常に重要な要素です。特に災害発生時には、こうした日頃の住民の繋がりが共助の基盤となります。

(2)子育てへの影響

 都市化の進行に伴って遊び場の不足が叫ばれる現代、安心して子育てのできる環境下の暮らしは、どこでも手に入るものではなくなってきています。

 そんな中、住まいのすぐ近くに子どもを安全に遊ばせることのできる公園があることは、大きな安心材料になります。住まいから近ければ、たとえ短時間な外遊びであっても億劫になりにくく、日常的に活動しやすくなります。

 さらに、公園は他の子どもとの遊びを通じて、順番を守る・譲るなどのルールや、協調性、コミュニケーション能力を学ぶ場所でもあります。加えて、子ども同士の交流だけでなく、保護者同士の情報交換やコミュニティの形成にも役立ちます。

(3)マイホームの資産価値への影響

 家の近くに公園があることで、緑や広場が見える景観が確保され、日当たりや開放感といった住環境の魅力が向上します。これにより、住宅地としての価値が高まります。

 また、前述の通り、公園は子どもが安全に遊べる場所を提供するため、子育て世帯にとって大きな魅力となります。安心して子育てできる環境は、長期的に見ても住宅の人気を維持しやすく、資産価値の安定に寄与します。

 さらに、公園は地域コミュニティの形成にも役立ちます。住民同士の交流が活発になることで、安全性や防災面でも評価が高まり、地域全体の価値が上がります。実際に、不動産市場においても、公園の近くにある不動産はファミリー層に人気が高く、売却や賃貸時に有利に働くことが多いです。

公園と住まいの関係

 公園は単なる遊び場にとどまらず、人々の日常生活を豊かにできるポテンシャルを持ち、暮らしの質やマイホームの資産価値など、住まいの価値に多面的に影響を与える重要な施設です。住まい選びの際には、建物そのものだけでなく、周辺にどのような公園があり、気軽に利用できるかもぜひ確認してみてください。

 ご不明な点がございましたら、明海大学不動産学部までご確認ください。

明海大学不動産学部講師 秦 瑞希