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家と税金③

住宅に係る相続について・渡す側

 

 相続とは日常なかなか考える機会のないものですが、避けては通れないものでもあります。今回と次回に分けて「住宅にかかる相続」を取り上げます。

 真っ先に思いつくのが生前贈与でしょう。贈与税がかからない年間の基礎控除額は110万円です。ただし、住宅を、毎年その枠を使って贈与を行うことは現実的ではありません。今回は2つの特例をご紹介します。

 

1,夫婦間での不動産贈与

 

 20年以上連れ添った夫婦の間で、居宅または居宅を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除のほかに最高2000万円まで控除できるという制度です。

 お得に見えますが、いくつか注意が必要です。まず、相続時には配偶者には1億6000万円の税額軽減の特例があります。また、贈与時には次回お話します小規模宅地等の特例を使うことはできません。そして、相続時には軽減される不動産取得税などが、贈与時にはそのままかかります。

 

2,相続時精算課税

 

 60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合、2500万円の枠内で贈与税がかからないという制度です。

 今回も注意が必要です。一度、この特例を選択した場合、年間110万円の基礎控除枠を使うことはできなくなります。また、贈与者が亡くなった場合、この特例で贈与を受けた財産は相続財産に含めて計算する必要があります。

 

 税金の計算には、法令や個々の状況などに応じた様々な対応が想定されます。ご不明点がある場合は、税理士までご確認ください。

(東京地方税理士会 税理士 堀川敏毅)