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マイホームを買う前に読んで安心Q&A①

不動産広告のルールを知って不適切な表示を見分ける

 不動産は個別性が高い、外見からは判断できない部分がある、時の経過とともに内容が変化するなどの特性があり、不動産の広告はこの特性を適切に伝えるものでなければなりません。不動産の広告に関して、宅地建物取引業法(宅建業法)、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)などの法律により適正化が図られ、「不動産の表示に関する公正競争規約(公正競争規約)」が実質上のガイドラインとなっています。このガイドラインを逸脱した広告を行う業者との取引は避けることが賢明といえます。

 公正競争規約に反する広告によって不動産の品質を誤認して購入等の契約をした場合などに備え、消費者に契約の取消権を与える消費者保護法も制定されています。

 宅地や建物の購入者などの利益の保護や取引の円滑化を図るために定められている宅建業法では、①契約開始時期の制限(青田売りから消費者を守る)、②取引態様の明示(業者の立場の明確化)、③誇大広告の禁止(消費者を誤認させない)などを定めています。

 実際よりも優良・有利と誤認する表示などを規制する景品表示法では、①商品の品質、規格等の内容(所在・規模・形質・環境等)、②取引条件等の表示(価格・賃料・支払方法・ローンの条件等)、③不当表示の禁止(おとり広告等)などを定めています。

 公正競争規約は、景品表示法の規定にもとづいて、不動産業界が自主的に定め、公正取引委員会の認定を受けた不動産広告のルールです。公正競争規約は不動産公正取引協議会連合会および全国9地区に設置された不動産公正取引協議会によって運用されています。神奈川県は公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会が管轄しています(https://www.sfkoutori.or.jp/)。

公正取引協議会所属業者のマーク
公正取引協議会所属業者のマーク

 公正競争規約の規制を受けるのは、不動産公正取引協議会に加盟する業界団体所属の宅地建物取引業者(宅建業者)です。不動産公正取引協議会に参加し、公正競争規約を遵守した広告を行うことは消費者保護の一つです。協議会に所属している宅建業者には図のようなマークが表示されています。マークが掲示されている宅建業者は不動産公正取引協議会に属する業者として、公正競争規約を守って不動産の表示や広告をして消費者保護に努めます。このマーク掲示されていることを確認することがまず重要です。

 公正競争規約に従えば、以下のような用語を用いることはできません。

①全く欠けるところがないことを意味する「完全」、「完璧」、「絶対」、「万全」
②競争事業者よりも優位に立つことを意味する「日本一」、「業界一」、「超」、「当社だけ」、「抜群」
③一定の基準により選別されたことを意味する「特選」、「厳選」
④著しく人気が高く売れ行きが良いという印象を与える「完売」
⑤最上級を意味する「最高」、「最高級」、「極」、「特級」
⑥著しく安いという印象を与える「買得」、「掘出」、「格安」、「投売り」、「破格」、「激安」、「バーゲンセール」、「安値」。これらの用語を見かけた場合は信頼できる業者かどうか疑わしいことから、取引を避ける方がよいでしょう。

もっとも、⑤と⑥については根拠となる事実を併せて表示する場合は使用が認められています。

 半面、宅建業者が行った不当な表示にもとづき、売買その他の契約が締結された場合においても、排除命令等の行政処分や規約にもとづいて違約金を支払うなどが課せられるだけで、原則として売買契約などの効力に影響を及ぼすことはありません。このため、業者が積極的に不適切な情報を提供したことによって契約が締結された場合に、消費者に契約の取消権を与え、業者と消費者間の対等性を確保することを目的とする消費者保護法が2001(平成13)年4月1日から施行されています。消費者保護法は、不実告知(重要な事項について虚偽の情報を提供する)、断定的判断の提供(利益を生ずることが確実であると誤認させる断定的判断を提供する)、不利益事実の不告知(不利益となる事実を故意に告げない)に起因する誤認について消費者が取り消しうると定めています。

 不動産の広告は、テレビ・ラジオ、インターネット、新聞・雑誌などのマス媒体、チラシ、ダイレクトメール、看板などのミニ媒体があります。不動産広告には媒体の如何にかかわらず法律上の規制を受けます。

 ご不明な点がございましたら、明海大学不動産学部までご確認ください。

(明海大学不動産学部 中城康彦)