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マイホームを買う前に読んで安心Q&A②

取引態様を知って不動産会社の立ち位置を確認する

 土地をすでに持っていて注文住宅の建て主となる場合を除いて、不動産会社に土地や建物の斡旋をお願いすることになります。

 不動産会社は日常的に用いられる用語ですが、土地や建物の斡旋をする不動産会社は、宅地建物取引業法(宅建業法)の定めに従い、宅地建物取引業(宅建業)の免許をもつ宅地建物取引業者(宅建業者)でなければなりません。宅建業者は取引に際し、取引態様を明示することが義務付けられています。取引態様は宅建業者の立ち位置を示し、手数料も異なります。

 想定する住宅の入手方法と取引態様の関係を整理しておくことが混乱なく取引を進めることに有用です。

 消費者が住宅を入手する方法を大きく3つにわけると、
 ①土地をすでに持っている人が建物を新築する、
 ②土地を購入したうえで建物を新築する、
 ③土地と建物を買う、に区分できます。

 ①と②は間取りや外観を自分で決める注文住宅を新築して手に入れることになります。③は完成している建物を土地と一緒に購入する方法で、新築では建売住宅、分譲住宅などと表現されます。中古住宅を購入する場合もこれに該当します。これらのうち注文住宅は建設会社に建築をお願いすることになり、宅建業法の規制は受けません。

宅建業法の規制を受けるのは、②のうちの土地を購入する部分と③の土地・建物を購入する部分になります。ハウスメーカーは建設業の免許と宅建業の免許の両方を持ち、建設業者であり、かつ、宅建業者のことが一般的です。
なお、建築条件付き土地売買は②に属しますが、これについては改めて説明します。

図1 住宅の入手方法(①と②は新築住宅、③は新築・中古共通)

宅建業者の不動産取引へのかかわり方は表の〇印のとおりです。住宅を持ち家として入手する場合はこのうちの売買によることになりますが、宅建業者は売買に際して、a.自ら(売主)、b.代理、c.媒介の3つの方法(取引態様)で関与することに注意が必要です。
宅建業者が異なる取引態様のうちのどの立場で取引に関係するかをあらかじめ開示することが大切なため、宅建業法が取引態様を示すことを義務付けています。

取引態様のイメージを示すと図2のとおりです。
a.売主は宅建業者が自ら売主となって所有する不動産を売るものです。
建売住宅はこのケースが多くなります。買主(一般消費者)はプロを相手にプロが所有する不動産を購入することになりますので、構図的には危ない取引にも見えますが、宅建業法では特にこのケース(宅建業者売主)について他の取引よりも厳しい規制を課すことで取引の安全を図っています。

b.代理は例えば宅建業者が売主を代理して買主と売買交渉して契約を成立させるもので、新築分譲マンションなどで用いられる方法です。この場合、売主も宅建業の免許を持っていますので、買主(一般消費者)はともに宅建業者である売主と代理業者を相手に不動産を購入することになります。構図的には危ない取引にも見えますが、代理業者は宅建業法の規制のもとで適切に取引を成立させる責務を負います。

c.媒介は売主、買主のいずれでもない中立の立場に立つ専門家として取引を成立させるために尽力するものです。買主は宅建業者と媒介契約を結び、それに基づいて宅建業者が契約成立に必要な活動をします。

一般に、不動産業者(宅建業者)=仲介(媒介)というイメージが強いのですが、実際にはそれ以外の立場で売買に関与することがあることを理解し、自分が考える住宅入手方法と関係づけて整理しておくことをお薦めします。
買主が支払う手数料は、c.媒介で必要となる一方、b.代理では原則として不要、c.業者売主では不要となります。

図2 取引態様(売買)

 ご不明な点がございましたら、明海大学不動産学部までご確認ください。

(明海大学不動産学部 中城康彦)