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マイホームを買う前に読んで安心Q&A⑤

マイホームの入手時に仕事を依頼する専門家

 日本には国家資格をはじめ多くの資格があります。マイホームを入手する際にもいろいろの専門家に仕事を依頼することになります。どのような資格者がいてどのような仕事をどの時期に依頼することになるのかを予め知っていることが円滑なマイホーム取得に繋がります。

 土地を買ってその上に注文住宅を建設する場合をみると、土地を購入する際に宅地建物取引士にお世話になり、所有権移転登記や銀行からの融資を受ける場合の抵当権の登記を司法書士に依頼します。建物を新築する際には建築設計について建築士にお世話になり、完成時に土地家屋調査士と司法書士に依頼して登記をします。建築工事を適切に推進する建築施工管理技士の資格があります。 

 土地を購入する際には、宅地建物取引業者に媒介を依頼します(①:媒介契約)。媒介は宅地建物取引業法の用語で日常的には仲介といわれています。。宅地建物取引業者では宅地建物取引士といわれる資格者が働いています。契約前の重要事項説明(宅地建物取引業法35条)や契約後の書面(宅地建物取引業法37条)など、宅地建物取引士にしかできない業務が定められています。

 購入する土地が決まったら売主から土地を購入します(②:売買契約)。売買契約書を作成しなくても売買契約は成立しますが、現在の土地取引で売買契約書を作成しないことは皆無といってよいでしょう。売買契約書を作成するのは売主と買主ですが、素人同志で適切な売買契約書を作成することは困難ですので、実務上は上述の契約後の書面(宅地建物取引業法37条)と関係を持たせるよう工夫することが一般的です。

 土地の購入資金を賄うために金融機関に融資を依頼することもあります(③:金銭消費貸借契約)。金融機関は返済が滞った場合に強制的に融資残高を回収する(競売にかける)ことが認められる抵当権を設定します(抵当権設定契約)。

 土地の売買により所有権が売主から買主に移転します。これを登記簿に反映するために所有権移転登記をします。専門的な知識が必要で一般人では困難なため、司法書士事務所に依頼します(④:委託契約)。不動産の権利の登記を担う専門家が司法書士です。ここでは司法書士が所有権移転登記と抵当権設定登記を行います。

 土地が手に入ったら住宅(建物)の設計を建築設計事務所に委託します(⑤:委託契約)。建築設計は建築士が行います。建築士には一級建築士、二級建築士、木造建築士があり、それぞれ設計できる建物の規模が決められています。建築設計事務所には建築設計だけを依頼する場合もありますが、多くの場合、工事中の工事監理も併せて依頼します。工事中の品質管理(手抜き工事をしていないかなど)やスケジュール管理、さらには、工事代金の支払時期の判断などは建主の責任と役割ですが、専門的な知識が必要なため建築士に委託します。

 建築設計図が完成したらその図面を建築施工会社(建設業者)に渡して工事を依頼します(⑥:請負契約)。建設現場では建築施工管理技士など工事の専門家が働いています。

 建築工事に際しては、工事着工前に建築確認申請をおこない確認済証を得なければなりません。建築主の役割ですが、専門的な知識が必要なため一般に、建築設計監理を委託した建築士に依頼します。

 住宅(建物)が完成したら登記簿に登記します。新築建物については用途、広さや階数などから登記する必要があります。このため土地家屋調査士事務所に表示の登記を依頼します(⑦:委託契約)。さらに、所有権の登記を行いますが、初めての所有権の登記を所有権保存登記といいます。権利の登記ですので司法書士事務所に依頼することは土地の所有権移転登記と同じですが、登録免許税が安くなっています。また、金融機関から融資を受ける場合は建物にも抵当権を設定します(⑧:委託契約)。 

図:マイホームの入手時に仕事を依頼する専門家

 以上は法律に根拠をもつ専門家(国家資格)ですが、このほかにも団体や協会が認定する資格や企業内の資格制度もあります。

 ご不明な点がございましたら、明海大学不動産学部までご確認ください。

(明海大学不動産学部 中城康彦)