家と税金㉚
住宅取得資金贈与のおさらい
住宅取得に係る税制上の支援策としては「住宅ローン控除」が頭に浮かびますが、「住宅取得資金の贈与」に関する特例についても検討に値すべきものです。
令和4年の税制改正にはなりますが、内容をおさらいしておきましょう。
主な改正点は次の通りです。
1,非課税措置が令和5年12月末日まで2年延長
2,非課税枠が500万円縮小(省エネ住宅1,500万円から1,000万円、それ以外の住宅1,000万円から500万円)
3,中古住宅の築年数条件(20年以内、耐火建築物は25年)がなくなり、昭和57年1月1日以降建築の建物が対象となる
4,受贈者の年齢が20歳から18歳に引き下げ
その他の要件に変更はありません。
主なものとしては
・贈与者の直系尊属からの贈与であること
・贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
・平成21年分から令和4年分までの贈与税の申告で当該制度の適用を受けたことがないこと
・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人からの住宅用の家屋の所得、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること
などになります。
国税庁のQ&Aにも記載がありますが、よくある間違いとしては
・配偶者の親から住宅取得資金の贈与を受けた→直系尊属ではないので対象外
・直系尊属2人(例えば祖父と父)から住宅取得資金の贈与を受けた→非課税枠は受贈者1人につき、贈与者1人につきではない
・直系尊属から居住用不動産の贈与を受けた→金銭の贈与のみが対象
・住宅ローンの返済のために贈与を受けた→居住用動産の取得等に充てるための贈与のみ
なお、贈与を受けた金額が非課税となる金額以下の場合でも、申告は必要になります。
相続時精算課税の併用も可能です。一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。
これらの特例の適用を受けようという時は税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
その他ご不明な点がございましたら税理士までご確認ください。
(東京地方税理士会 税理士 堀川敏毅)