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マイホームを買う前に読んで安心Q&A⑫

部屋の長さと広さ

 

 住宅の間取りを考えることは楽しいことです。建築士と打ち合わせしながら理想の住宅を手に入れたいものです。在来構法の住宅を中心に、部屋の広さを畳の枚数で表現してきました。また、メートル法を採用するようになった今でも、広さを坪(つぼ)で表現したり、長さを間(間)で表現したりすることもあります。これらが打ち合わせの途中や建設現場で使われると混乱してより重要な打合せ内容が消化不良になってしまう可能性もあります。間(けん)や坪(つぼ)などの古い体系は、住宅の間取りを考える際に便利な側面もあります。提示された間取りの適否を判断する場合にも利用可能です。

1.心々寸法と内法寸法

 建築基準法は面積を心々(しんしん)寸法で計算します。部屋の広さを計算するために、柱や壁の中心線を想定し、中心線相互間の長さで面積を計算する方法です。現在では畳の長辺方向1,820 mm、短辺方向910 mmを基本として考えますが、心々寸法による長さや広さの表現は便利な側面もありますが、内法(うちのり)寸法と比較すると面倒な側面もあります。

 図1は畳2枚分の広さ(2畳)の部屋を示しています。芯々寸法では柱や壁の中心線間の距離を1,820 mmとしますので、2畳の部屋の大きさは、1,820 mm×1,820 mmで表示されます。同様に6畳の部屋は短辺方向が910 mmの3倍、長辺方向が910 mmの4倍の長さとなりますので、2,730 mm×3,640 mmの広さとなります(図2)。

 かつて、住宅は内法(うちのり)寸法を基準として造られていました。内法寸法の場合、部屋の内側の寸法、例えば畳の大きさを優先しますので、どの部屋でも畳や襖・障子の大きさが同じになります。住宅内で使い回しすることや転居後の新居に転居前の住宅で使っていた畳などを継続利用することも可能でした。畳や襖・障子に造作として価値があったわけです。

 これに対して心々寸法では部屋の大きさごとに、また、同じ部屋でも向きによって畳の大きさが異なることになります。図1と図2では柱の大きさを105 mm×105 mmとして図中に畳の大きさを表示していますので、大きさの違いが確認できます。もっとも、現在は複数の和室を持つ住宅を建築することは少なくなりましたので、心々寸法のもつ短所は問題にならなくなったといえます。

2.度量衡

 現在の日本はメートル法を採用しているため、公文書にあっては、間(けん)や坪(つぼ)だけの表示は認められず、メートルや平方メートルと併記する必要があります。それにもかかわらず、建築や不動産の実務では間(けん)や坪(つぼ)が根強く使われています。その理由は、便利で実用的だからです。

 1坪は畳2枚分です(図1)。畳の長辺方向を1間といい、1間×1間が1坪となります。現在では1間を6尺とすることが標準的ですが、厳密には、1尺=303.0303030…=303.03(循環小数)です。したがって、1間=6尺=1,818.181818…=1,818.18(循環小数)です。

 これによれば、1坪=1.818181818m×1.818.18181818m≒3.305785㎡となります。一般に㎡と坪の換算は1坪=3.3㎡を使うことが多いのですが、土地価格が高価な場合など、正確に求める必要があるときは、1坪=3.305785㎡を使います。

表1 長さと広さの関係

 電卓がない場合や、打ち合わせ中に暗算で換算する必要があることがあります。この場合に3.3で割ったり、掛けたりするのは容易ではありません。このような場合のために、3.305785の逆数をとります(1÷3.305785=0.302500)。暗算する場合には、3.3で割ったり、掛けたりするのではなく、0.3で掛けたり、割ったりします。電卓で正確に計算する場合は、0.3025で換算します。

3.モジュールを利用した建築の生産

 戸建住宅を設計する場合は、現在でもモジュールを利用することが一般的です。モジュールとは基本の寸法体系のことで、日本では上記の6尺の半分の3尺(畳の短辺方向)が基本となります。3尺モジュールを利用する理由は、人間の大きさを基本とするものであり、住宅等であってはほとんどの空間をこの寸法体系で設計できるからです。
 また、建材がモジュールに基づいて製造されていて建設現場で無駄が生じない、大工などの職人が慣れていて間違いが少ない、などもその理由です。面積を計算する場合には、間(けん)数と間(けん)数を掛けると坪(つぼ)数が出ることも便宜です。

4.部屋の大きさと相互の関係

 モジュールを理解することで、住宅の間取りを考えたり、間取りの良否や大きさの過不足を判定することができるようになります。図3をもとに、空間の大きさや部屋相互間のつながりについて頭のトレーニングをしましょう。

 4.5畳は1.5間×1.5間(=2.25坪)の正方形です。6畳は1.5間×2間(=3坪)の長方形です。8畳は2間×2間(=4坪)の正方形となります。6畳と8畳は連続して配置するのに便宜です。
 浴室は1間×1間が目安です。洗面更衣室も同様です。便所は3尺(0.5間)×6尺(1間)もあればよいのですが、4尺5寸(1,365mm)×6尺(1,820mm)とすれば、簡単な洗面台がとれて余裕が生まれます。洗面台部分は将来、手すりに置き換えることで高齢者居住にも対応可能です(ユニバーサルデザイン)。
玄関は3畳分(1間×1.5間)あれば下足箱をおいたとしても不自由ない広さです。
 問題となりやすいのは階段です。階段は踏面(ふみづら:足を乗せる部分)と蹴上げ(けあげ:1段の高さ)で造られ(図4)、一般に、踏面+蹴上げ=45㎝です。住宅など少数の限られた人が使う階段は比較的急勾配に、不特定多数が使用する建物や屋外の階段は緩勾配につくることが一般的です。勾配が45度をこえるといかにも急で、踏面23㎝、蹴上げ22㎝が限度でしょう。
 住宅の階高を、天井高+天井懐=2,400mm+400mm=2,800mmとすると、段数は、2,800mm÷220mm=12.7段⇒13段となります。13段は縁起が悪いという方もいますので、14段としましょう。この場合の蹴上げは、2800mm÷14段=200mmとなり、踏面は、450mm-200 mm=250 mmとなります。つまり、踏面:25㎝、蹴上げ:20㎝の階段をつくることになります。この階段を折り返し型とすると、図5のような大きさになります。

この階段を図3に戻して全体をみてみます。廊下から直角方向に、浴室、トイレなどと並べて階段を配置する場合、階段の長辺方向は1,820mmに納めたいところですが、1尺5寸(455mm;910 mmの半分)だけオーバーしてしまいます。踊り場部分をらせん階段状にすれば1,820mmで納まらないことはありませんが、感心できません。超高齢社会において階段はなるだけゆとりを持たせておくことが望ましいこと、踊り場をなくしてらせん階段状にすると、階段上部で転倒した場合にらせん部分で加速して一気に下まで転げ落ちてしまう危険性が高いことがその理由です。踊り場をとっておけば転倒した場合でも階段の半分で止まります。けがの程度は大きく異なることでしょう。
1尺5寸(455mm)だけオーバーすると住宅の外観がちぐはぐになります。これをさけるためには階段の配置を変更します。

5.メートルモジュール

 近年では3尺(910mm)モジュールに代えてメートル(1,000mm)モジュールを採用することもあります。基本寸法が9cm大きくなりますのでその分余裕ができます。住宅全体をメートルモジュールにすることが難しい場合でも廊下や階段などをメートルモジュールにしておくことは有効です。これらの場所に手摺を付ける可能性が高くなっています。手摺をつけてもメートルモジュールであればあまり圧迫感がありません。
 居間を2階に設ける、3階建てが多くなっているなど、階段の利用頻度が高くなっていることもあります。荷物を持って階段を昇降する場合、メートルモジュールであれば相応の大きさの荷物をもっても体を進行方向に向けたまま昇降でき、安全でかつ楽な移動が可能です。
 階段では蹴込み(けこみ)が大切な役割を果たします。蹴込みを設けることで、平面図で示す踏面を有効に利用することができます(図4)。

6.不動産の広告

 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則は、「住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62㎡(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること」と規定しています(第11条第16号)。0.9m×1.8m=1.62㎡ですので、伝統的にモジュールとして用いられてきた、0.91m(910 mm)×1.82m(1,820mm)について端数(10 mm)をカットした寸法で計算することを認知したものです。

 ご不明な点がございましたら、明海大学不動産学部までご確認ください。

(明海大学不動産学部 中城康彦)