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マイホームを買う前に読んで安心Q&A⑪

住宅の構造躯体の造り方

 

 住宅で主に用いられる木造建物の構造躯体の造り方は、軸組工法と枠組壁工法に大別できます。軸組工法は日本で古くから用いられてきた伝統的な造り方で、在来工法といわれることもあります。枠組壁工法はツーバイフォー工法の名称で知られ、北米から導入されました。

 近年では軸組工法の接合部を剛接合にした木造ラーメン構造もみられるようになりました。集成材を用いて柱や梁の寸法を大きくして柱の間隔を広くし、大空間が取れる点が特徴です。

 鉄骨の寸法を木造の柱や梁と同等程度として壁の中や天井裏に収めた軽量鉄骨造は、外見では木造と区別がつきにくくなります。

1.軸組工法(在来工法)

 建物には建物の自重、人、家具や雪などの積載荷重、風や地震の力など、いろいろな力が加わります。軸組工法は建物に加わる力を梁や柱などの線形の材料で支える造り方です(図1 左)。構造躯体として建物を支えるのは基本的には軸組(柱や梁など)だけで、軸組以外の部分には構造的な力が加わらないことが通常です。このため、大きな開口部をとることができる、間仕切壁の配置や変更が自由にできるなどの特徴があります[1]。木造在来工法は代表的な軸組工法です。


   [軸組工法]         [枠組壁工法]

図1 構造躯体の造り方

 [1] 一般に開口部は壁と比較して断熱性能が劣ることから、建物全体の断熱性能を高くするために開口部を小さくする傾向があります。開口部は壁と比較して工事費が高いことも窓を小さくする要因となっています。


 近年では木造在来工法の柱と梁などの接合部を金具で補強して地震時の損傷を軽減するようにしていますが、接合部の分類としてはピン接合といわれ、変形しやすい特徴があります。

 建物には常時は垂直方向からの力がはたらきますが、地震時には水平方向から力が加わります。水平方向から加わる力によってピン接合の軸組が変形し、柱と梁で作る長方形の対角線の長さが変わります。そこで、対角線の位置に筋かいを設け、対角線の長さが変わらないようにする役割を持たせて変形を抑え[2]、倒壊を防ぎます(図2)。

図2 ピン接合と筋かい

 [2]平時は対角線の長さはおなじですが、地震時に軸組が変形すると、短くなる対角線と長くなる対角線が生じます。木造の筋かいの役割は一般に、伸びようとする対角線が延びないように引っ張って変形をとどめることです。このため、筋かいの取り付け部分は引っ張られても抜けないよう、しっかりと柱、梁や土台に緊結する必要があります。近年は筋かいのかわりに一定の厚さをもつ構造用合板を柱、梁や土台に打ち付けて耐震性を持たせる方法も増えています。


2.枠組壁工法(ツーバイフォー工法)

 建物に加わる力を壁面や床面全体で支える方法で、ツーバイフォー工法として知られています。2インチ×4インチの木材を組み合わせた枠組みに構造用合板を打ちつけて床や壁などを作ることを基本とする方法です。壁はあらかじめ寝かせた状態で組み立てた後、引き起こすようにして立ち上げます(図1 右)。

 壁全体で建物を支えますので、開口部をあまり大きく取ることができない、建物を支えている壁を撤去するような間取りの変更ができないなどの特徴があります。半面、耐震性の確保は容易といえます[3]


 [3] 軸組工法の耐震性が劣るという意味ではありません。軸組工法では耐震性を確保するために筋かいなどを付加しますが、軸組壁工法では耐震性を高めるための付加工事が不要です。工法にかかわらず建築基準法の耐震基準に合致することで耐震性は確保されます。


3.鉄筋コンクリート造の構造躯体

 鉄筋コンクリート造の構造躯体の造り方は木造と同様、柱と梁で支える方法と、壁全体で支える方法があります。柱と梁で支える鉄筋コンクリート造は一般に、ラーメン構造となります。木造ではあらかじめ別々の部材で造った柱と梁を接合部でつなげますが、鉄筋コンクリート造では大きな寸法の柱や梁を同じ材料で同時に一体的に造ります。このため、接合部の剛性が高くなります。

 このような接合を剛接合といい、地震時にはたらく水平力に対しても接合部が変形しにくい特徴があります。剛接合の柱や梁で支える方法をラーメン構造といいます(図3)。


図3 剛接合のラーメン構造

 壁全体で建物を支える鉄筋コンクリート造は壁式鉄筋コンクリート造といいます。柱や梁が部屋の中に突出しないので、部屋の隅々まで有効に利用でき、家具の配置などの自由度が高まります。他方、ツーバイフォー工法と同様、建物を支えている壁を撤去するような間取りの変更ができなくなります。建てられる階数に制限がありますが、戸建て住宅では問題となりません。

4.鉄骨造の構造躯体

 鉄骨造は用いる鉄骨の形状や寸法により重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分かれます。重量鉄骨造では部材の断面がH型をしたもの(H形鋼)を多く使います。接合部は剛接合でラーメン構造となります。

 戸建て住宅で多く用いられるのは、軽量鉄骨造です。軽量鉄骨造は木造在来工法と同様、ピン接合の軸組工法となります。木造と同様、水平力に対抗するために筋かいと同様の機能を持つブレースと呼ばれる斜材を入れます。軽量鉄骨造の柱や梁の寸法は木造のそれと同程度ですので、柱は壁の中に隠れます。また、屋根形状も木造と同様の形状とすることが一般的ですので、外から見ただけでは、木造と区別がつかないことも少なくありません。

5.木造ラーメン構造

 木造の場合、木材からとれる柱や梁の大きさに制約があります。一般的な在来工法の住宅では柱の断面は10.5cmの正方形のもの(10.5cm角)や12cmの正方形のもの(12cm角)を用います。梁は柱間の距離に応じてある程度大きなものも用いますが、柱や梁が支えることができる範囲に一定の限界があり、適宜柱を配置することが必須でした。このため、部屋内に柱を立てることなく、何十畳といった広さの空間を確保することができませんでした。

 近年は木材を貼り合わせて大きな部材を作る集成材の技術が進歩しました。集成材の技術を使って大きな柱や梁を造り、接合部をボルトなどで剛接合する木造のラーメン構造が普及し始めています。一定の間隔で柱を建てる必要があった木造在来工法では実現できなかったような大空間を実現できる、間取りが自由で変更も容易などが特徴です。

 ご不明な点がございましたら、明海大学不動産学部までご確認ください。

(明海大学不動産学部 中城康彦)