家と税金㊵
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度と相続時精算課税制度の併用
住宅の取得はとても大きな買い物です。
自己資金や住宅ローンを利用しても賄いきれない時に、ご両親や祖父母から資金援助を受けることがあります。
いくつかの要件がありますが、その援助を受けた資金を使って住宅の取得等をしたときは、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税」の規定を使うと、上限1,000万円(一般住宅500万円、質の高い住宅1,000万円)まで贈与を受けた金額が非課税の対象となります。
この規定は適用期限が令和8年末までとなっています。詳しくはコラム「家と税金㊳」で触れておりますのでご確認下さい。
さらに、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税」の規定と「相続時精算課税制度」とを併用することで、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税金額(1,000万円)に加えて「相続時精算課税制度」の特別控除額(2,500万円)と基礎控除額(110万円)を利用することができ、最大3,610万円まで贈与税がかからず贈与を受けることができます。
この住宅取得等資金の贈与にかかる相続時精算課税についても適用期限が令和8年末までとなっています。
なお、「相続時精算課税制度」を適用する際の贈与者の要件に、「60歳以上の父母又は祖父母」とありますが、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税」の規定を併用することにより60歳未満のご両親からでも相続時精算課税による贈与を受けることができます。
「相続時精算課税制度」は、一度選択したら今後の贈与にも適用することになり、贈与者に相続が発生した時には、贈与を受けた金額と相続財産を合わせて相続税の計算を行うことになりますので注意が必要です。
なおこの場合には、贈与を受けた金額から基礎控除額(110万円)を控除した金額を相続財産に加算することになります。
その他ご不明な点がございましたら、税理士までご確認ください。
(東京地方税理士会 税理士 久保 順子)